[レポート] UX DAYS TOKYO 2019 :チームで一緒にリサーチをしてみよう
4/5〜4/7に開催されたUX DAYS TOKYO 2019 「チームで一緒にリサーチをしてみよう」に参加しました。 講師はErika HallさんでMule Design Studioというデザインコンサルティング会社の共同設立者の方です。 著書の「Just Enough Research」はUXリサーチのバイブルと呼ばれUXに関わっている人なら誰でも知っているという名著だそうです。(知りませんでした…
イベント概要
ビジネスに役立つUXは、日本でも広がりを見せています。しかし、その一方で、言葉や手法だけが先行し、本質を理解しないままプロジェクトに入れてみたという方も少なくありません。UX DAYS TOKYOは、UXで大切な視点と思考が学べるカンファレンスです。UX DAYS TOKYO2019は、Google、Amazonなどで活躍する方や、10年以上UXを行っているシニアレベルのスピーカーを招聘して最新情報やノウハウの本質をご紹介しています。
ユーザーリサーチとは
ユーザーリサーチは、さまざまな定性的および定量的方法を通して、ユーザーの問題を解決するプロセスに繋がるユーザーのニーズ、行動、動機、経験を理解するために使用するリサーチ手法です。
Research & Collaboration
全ての業種・職種はバラバラだがそれぞれに関わりを持っているため、コラボレーションが必要。
- コラボレーションとは
- 目標を共有して一緒に目標に向かって協力し合うこと
- 同じ企業でも目標が設定されていないことが多い
- 目標を共有して一緒に目標に向かって協力し合うこと
- コラボレーションは自発的に生まれない
- 組織的な問題
- コラボレーションが達成できたとき人ではなくチームにインセンティブを与える
- プロジェクトを部門横断的に見れる人がいない
- Web・モバイル・AI…
- リソースの取り合い
- 組織内で競争があると共通のチームでのコラボレーションは生まれづらい
- よいコラボレーションのために
- have a plan
- コラボレーションがなぜ必要なのか(理由
- チームの役割・責任を明確にする
- チーム・組織にとっての共通の期待値・どういう状態がうまく行っている状態なのか明確にする
- 目標に対する進捗についての共有の場・話し合いを設ける
- Reflect on performance
- うまく行っている状態を反復していく、定着する状態にもっていくこと
- 対立があることを受け入れる
- 本当のコラボレーションは生産的な意見の交換・コミュニケーションが生まれる
- 協力関係がなければリサーチは意味がない、意見を聞いてもらえない
- 人は自分のアイデア・一度決定したアイデアを変更したくない・批判されたくないから
- 何が必要か、その人との関係・リサーチを交えたストーリー・相手への(立場などへの)思いやり、ゴールの共有
- 不快・不安定な状態を受け入れる
- 良い方向に変わったと感じられるまでには時間がかかる
- 改善が回り始めると楽しくなっていく、自分がよくしていっている、関われているという実感
- 小さな意思決定・小さな改善を積み重ねる
- リサーチで得られるもの
- 共通認識を得ることができる
- よりよい製品をより早く作る
Forming Questions
リサーチのやり方についても常により良い方法はないか質問していかなければならない
- 前提にある考え方
- Goal Driven
- Skeptical mindset(懐疑的な思考)
Form questions→Gather data→Analytics data→Insights→Decision
- 良い意思決定のためにリサーチをする
- 期待値の設定
- 何がよいリサーチなのか成功指標を作る
- リサーチは質問に答えるための手法
- データに意味を与えるために良い質問をすることが大切
- 検索の仕方と同じ
- 適切な値を与えれば正しい・近しい答えが出る
- 検索の仕方と同じ
- データに意味を与えるために良い質問をすることが大切
- Research Questions ≠Interview Questions
- どんなプロダクトが欲しいかや何が必要かなどを知りたい時、そのまま質問しても適切な答えを得ることは難しい
- 人は自分のことを説明することや本音を話すことに躊躇する
- どんなプロダクトが欲しいかや何が必要かなどを知りたい時、そのまま質問しても適切な答えを得ることは難しい
Bias & Critical Thinking
誰でもバイアスを持っているが自分のバイアスは認知できないため、チームでコラボレートすることでバイアスを取り除き、チェック機能を持たせる。
- バイアスがかかりやすい状態とは
- 自分の体験を裏付けるような情報を聞いた時
- 以前に聞いたことのあるアイデア
- 気分がいい時
- 1. 確証バイアス
- 自分がこうだろうと思う内容を裏付けるデータでその仮説に確証をもつ
- その仮説が本当に正しいかよりも自分が間違っていないという誤った認識が優先される
- 2. Hindsight Bias
- 何かを見せられた時にそんなことは予測できたこと、当たり前のことだなどと思うこと
- 3. Curse of Knowledge
- あるコミュニティ・組織に属しているとそこの常識、習慣や考え方が当たり前だと思ってしまう
- 4. Funding Bias
- 出資元、権威など拠出元に配慮したバイアス
- 5. Interviewer Bias
- インタビュアーが自分の感情をインタビュー中に交えてしまうことによりインタビュアーの感情や表情によって答えが変わる可能性がある
- 6. Social desirability Bias
- 社会的な立場に立って意見する(本心とは別に社会的に求められていることを回答してしまう)
- 7. Hawthorne Effect
- 治療を受ける者が信頼する治療者(医師など)に期待されていると感じることで、行動の変化を起すなどして、結果的に病気が良くなる(良くなったように感じる、良くなったと治療者に告げる)現象をいう。*wikipedia
- 期待されていると感じることで恣意的に結果を変えてしまう
- 治療を受ける者が信頼する治療者(医師など)に期待されていると感じることで、行動の変化を起すなどして、結果的に病気が良くなる(良くなったように感じる、良くなったと治療者に告げる)現象をいう。*wikipedia
User Research
Interviewing is not talking. Interviewing is Listening
- 1. know your Question
- なぜインタビューをするのか何を知りたいのか
- 2. Warm Up
- インタビュー前のウォームアップで緊張をほぐす
- 3. Shut Up
- インタビューの構造
- 1. イントロ
- Smile
- Describe the process
- インタビューの流れについて説明する
- 詳細な内容についてはさける
- Ask to record
- 録音する、メモは控えめに
- Warm up qustions
- トピックは相手によって変える
- 2. 本題
- Ask open-ended questions
- YesNoではなく口述できる質問をする
- Probe for more
- 自分の意見を挟まない
- Allow silence
- Use questions as checklist
- あらかじめ質問のチェックリストを作成する
- Ask open-ended questions
- 3. 結論
- Transition to wrap-up
- Ask if there is anything else to add
- 他に付け加えること話したいことがないか聞く
- Thank for time
- インタビューに協力してくれたお礼を述べる
- 1. イントロ
Analysis
集めたデータを有効なデータに変換する
- Insight + Business Goal → Action
- 分析の3つのステップ
- 1. Identify the observations
- 集まったデータからパターンを示す特徴を探す
- 2. Group observations into patterns
- データをパターンにグループ化する
- 3. Identify the top 5 insights that you learned from this exercise
- 上位5つを引き出す
- 1. Identify the observations
感想
8時間という長時間なワークショップでしたが、密度の濃い充実した時間で本当に良いワークショップでした。ユーザーリサーチという手法の説明だけではなく、何故リサーチが必要なのか、リサーチが何の役に立つのかという本質的な部分を学べたこと、実際にユーザーリサーチを長年に渡ってビジネスの現場で行なっている方からそれをどうプロジェクトに活かすのか実例を交えてわかりやすくお話いただき、大変理解が深まりました。
リサーチを行うことが難しくても、チームでのコラボレーションはどんなプロジェクトでも必ず必要になります。デザイナーだけではなくプロジェクトに関わるチームのメンバー全員が意識して行うことでより良い開発、プロダクトが作れるのではないかと思います。私も現在自分が関わっているプロジェクトで少しづつでも今回学んだ内容を活かして、よりよいコラボレーションを作っていきたいと感じました。今後もリサーチ手法に限らず継続的にUXについて学んでいき、このようなイベントがあったら積極的に参加していきたいと思います。